赤い殺意 (1964) / Unholy Desire

人間の欲望、性、生命力に肉迫する今村昌平独自の世界観 「重喜劇」。その今村“重喜劇”史に燦然と輝く傑作であり怪作。キャスト:春川ますみ, 西村晃, 露口茂, 楠侑子, 赤木蘭子

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赤い殺意 (1964) / Unholy Desireのあらすじ

仙台にある旧態依然とした旧家・高橋家。幼いころに高橋家に引き取られた貞子は、二代目の次男に強引に犯され夫婦となる。結婚後も貞子の家での立場は極端に低く、夫や姑からいびられる毎日だった。そんなある夜、夫が出張中の家に押し入った強盗に貞子は犯されてしまう。ショックのあまり死のうとする貞子だったが、死にきれない。その後も強盗との関係が続いていく貞子だったが、ふつふつと女の本能が沸き上がり次第にたくましい女へと変化していく…

赤い殺意 (1964) / Unholy Desireのあらすじ

強盗(露口茂)が押し入った夜、夫の吏一(西村晃)は出張中であった。恐怖におののく貞子(春川ますみ)を、殴打しスタンドのコードで縛りあげて、獣のようにせまって来る男に、貞子は半ば気を失って呻いた。明け方強盗は再び貞子を犯して去った。“死なねばならない”貞子は、土堤下を通る鉄路にふらふらと出てみたが子供勝への愛情はたち難かった。翌日出張から帰って来た夫に、何度かうちあけようとしたが、何も気づかない風の吏一の態度に、言葉をのんだ。東北大学の図書館に勤める吏一には、事務員義子と五年も肉体関係がある反面、家庭では吝嗇で、小心な夫であった。再び強盗が貞子の前に現れたのは、あれから二日後の夜だった。乱暴なふるまいのあと、「もうじき死ぬんだ、あんたに優しくしてもらいたいんだ」と哀願した。その夜吏一に抱かれながら、貞子は、家庭の平和を乱したくないと苦悶した。だが、デパートの特売場で、強盗に声をかけられた貞子を、義子が見てから、夫は、近所の学生英二との間を疑うようになった。二月の初め、妊娠に気づいた貞子に、強盗は“腹の子は俺のだ”と執拗にせまった。吏一の父清三の葬儀に行った貞子は、自分が妾腹だという理由で入籍されず、子供の勝が清三の子になっているのを知って愕然とした。数日後、強盗が合図の石を屋根に投げたのを聞いた夫が、英二のしわざと思いこみ嫉妬にかられて隣家に踏みこんだ。夫に疑われて追いつめられた貞子は、強盗に会いにいった。強盗は平岡というトランペット吹きで、心臓を病んでいた。よわよわしい彼の表情に負けて、またも温泉マークに入った貞子は、ついに平岡を殺そうと決意した。農薬をジュースに混入して殺すのだ。吏一の東京出張中、貞子と平岡は、汽車に乗ったが、途中不通となったため、吹雪の中を疲労にふらつく平岡を助ける貞子に義子が木影からカメラをむけていた。疲労の末貞子が手を下すまでもなく悶絶してゆく平岡を前に、貞子は、何か説明しがたい胸の痛みを感じた。そして義子も、カメラをもったまま車にはねられて死亡した。何ごともなかったような毎日が始まったが、貞子のうえには、女としての自覚と責任が、新しく芽ばえていた。

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